本ゼミは、「グローバル化と東アジア」をテーマに様々な「現場」をミクロな視点から捉えます。五感を研ぎ澄ませて「歩く学問」を実践し、地域に根差した人びとの営みなどを、総合的に理解することを目指します。
本ゼミでは、東アジアと私たちがどのようにつながっているのかについて、様々なレベルから多角的に議論を深めます。具体的なトピックは年度ごとに異なりますが、過去の例で言えば、多くのゼミ生の関心事であったナショナリズムやジェンダーの視点から、「慰安婦」問題に関する文献を読み進めました。3年生が主体となり、市民団体や展示会に足を運んでフィールドワーを行い、卒論ゼミ論報告会でその成果を発表しました。2022年度は、「食」をテーマに社会、文化、政治、歴史といったキーワードをかけ合わせたブレインストーミングを行い、そこから浮上した論点を整理して、グループ別に再設定したテーマをもって調査研究に取り組む段取りを整えています。いずれの作業においても、学生が主体となって作り上げるゼミ運営を目指しています。


全体の調査計画を構想し、文献を講読することはもちろんのこと、実際に様々な「現場」に足を運ぶことも重視しています。先行研究で明らかにされてきたことを確認しつつ、その行間をいかに読み解いていくかが研究の要になるからです。2022年の夏休みを利用し、全学共通科目「立場の心理学2」(出口真紀子教授)と合同で行った関東大震災「慰霊碑」フィールドワークでは、1980年代から証言の聞き書きや文献資料収集を行い、具体的な歴史的事実の解明に取り組んできた方々のお話を伺いました(写真4:キャンパスに描かれた絵をもって説明する「社団法人ほうせんか」理事の西崎雅夫さん)。


コロナ禍の前には、有志による韓国でのフィールドワークも行いました。多くの観光客がショッピングを楽しむソウルの繁華街も、問題意識を研ぎ澄ませて歩けば、随所に「日本」が埋め込まれていることに気づきます。本ゼミでは、何よりも「他者理解は自己理解の第一歩」という認識と構えをもって、繰り返しフィールドを歩きながら学んでいきます。


1. 上水流久彦、太田心平、尾崎孝宏、川口幸大編
『東アジアで文化人類学を学ぶ』昭和堂、2017年。
東アジアでフィールドワークを行う研究者たちが、家族と親族、宗教、エスニシティ、移民、多文化共生などのテーマを取り上げており、ミクロな視点から東アジアを捉える構えや方法を学べぶことができます。
2. 山下英愛
『新版 ナショナリズムの狭間から』岩波書店、2022年。
フェミニズムの視点から「慰安婦」運動の歴史を問い直し、二度と被害を繰り返させないためにどのような取り組みが必要なのかに言及している。私たち個々人がどのように向き合うべきかを深く考えさせられる一冊です。