現代の中東や隣接する地域に起こっているさまざまな事象(政治、国際関係、社会、経済、文化など)をこの地域に固有な歴史的背景を踏まえて理解することをめざします。
みなさんのなかには、現代社会の諸問題には関心があるけれども遠い昔のことなんてあまり興味ないという人もいるかもしれません。しかし、われわれが生きる現在もまた過去のさまざまな経緯の積み重ねの上にあることを思えば、過去に対する十分な知識なくして「今」を理解することはできません。そんな立場から、このゼミでは中東地域の近現代史に関する文献(史料の抜粋など)を輪読し、この地域にかつて生きた人々に思いをはせながら歴史的想像力を養うことをなによりも大事にしています。

ゼミでは、受講生それぞれが心から面白いと思う「問い」を見つけることが求められます。そのためには、インターネットなどで手軽に入手できる情報に満足しないことが大切です。本を読む、展覧会をのぞく、映画を見る、モスクに行く、中東料理を食べる、実際に現地を旅するなど、さまざまな体験を通じて、少しでも「中東」に触れる機会を増やしてほしいと思っています。

研究は試行錯誤の連続です。とくに歴史学という学問は、最終的にどういう絵柄が現れるかわからないジグソーパズルを解くようなところがあります。右往左往しながらピースを集め、試行錯誤しながら組み合わせることで少しずつ絵柄が見えてくる楽しさをぜひ味わってください。

1.鈴木董・近藤二郎・赤堀雅幸編2020『中東・オリエント文化事典』丸善出版
古代から現代まで中東地域のさまざまな事象について簡潔で興味をそそる解説が付されている。パラパラめくりながら、ぜひ自分の関心あるテーマを見つけてほしい。
2.杉田英明1995『日本人の中東発見 逆遠近法の中の比較文化史』東京大学出版会
遠くへだたった日本と中東が実は古代以来の長い「文化交流」によってつながっていたことに気づかせてくれる名著。