中東・アフリカ研究Aでは、中東北アフリカ地域のジェンダー問題を中心に、社会、経済、政治など多様な問題群についての「常識」を批判的に見直し、考察・議論します。
中東・アフリカ研究Aを履修するゼミ生の興味関心はさまざまです。ヴェールや児童婚、FGM(女性性器切除)など中東北アフリカ地域特有のジェンダーやセクシュアリティに関心がある人もいれば、アメリカの音楽とフェミニズムの関係を研究する人もいます。卒業生の中には、ジェンダー・フェミニズムの問題に加えて、イスラーム過激派、移民・難民に関する卒業論文を書いた人もいます。どのような問題関心であっても、ゼミ生がそれぞれの関心や経験、そして視点を持ち寄って、疑問をぶつけ合い、議論することに重点を置いてきました。 卒業論文については、ゼミ生同士がグループを組んで、卒論の構成や内容を推敲しあって完成度の高い論文を仕上げています。比較的小規模なゼミですので、教員とゼミ生、ゼミ生同士が自由に議論し合い、互いの知的好奇心を刺激し、高めあうことができています。

このゼミで重視していることは、「当たり前」を疑うことです。写真は湾岸アラブ地域で着用されている「アバーヤ」と呼ばれる外出着です。これらの衣装を身に纏う女性は、一見すると、服装の自由を奪われた「抑圧された」存在に見えるかもしれません。では、私たちにはどんな服でも着れる完全な自由を享受しているでしょうか?どんな社会にも、時と場合に応じた服装規定があり、われわれも服装規定に従って洋服を選んでいることがわかります。異文化を知ることは、まず自分を見つめ直すことから始まります。ゼミでは、批判的な視点を養うことに重点を置いて、さまざまな問題群に取り組んでいます。

ゼミでは、3、4年生を問わず、あらかじめ決めておいた割り振りにしたがって受講者が順に発表するスタイルをとっています。3年生の前半では、テーマ探しと文献探しを目標としながら、読んでみた本や論文の内容を発表します。3年生後半までには、卒論の大まかなテーマを決めて、各自の方向に沿った文献を読み、発表します。先輩や仲間の発表を聞きながら発表の方法やテーマの決め方を学んでいけるので、無理なく卒論のテーマを探すことができるはずです。 一生のうちで卒論ほど長い文章を書く人はそれほど多くないはずです。でも、卒論を書くために、何を研究し、明らかにしたいのかを考え抜くことは、翻って自分を見つめ直し、それをどう表現するかを知る貴重な機会です。大学を卒業しても、時には基本に立ち返ってみる必要が出てくると思います。その時に辻上ゼミの基本である「自分を見つめ直す」ができるようになっていることが、ゼミの目標です。

1. アブー=ルゴド2018『ムスリム女性に救援は必要か』書肆心水 2.千田有紀ら編著2013『ジェンダー論をつかむ』有斐閣