高校時代、私は1年間アメリカに留学しました。しかしその滞在は、新型コロナウイルスの感染拡大によって途中帰国を余儀なくされ、「もっと現地で学び続けたかった」という思いから、大学では必ず“丸々1年間”海外で学びたいと決意しました。今回の留学で私が重視したのは、英語を学ぶことそのものではなく、英語をツールとして活用し、学術的な知識を深め、専門的な議論に参加できる力を身につけることでした。英語で論文を読み、自分の意見を整理し、異なる背景を持つ学生と議論する経験は、日本にいるだけでは得難いものだと感じていました。
留学先として選んだのは、オランダの首都であるアムステルダムです。アムステルダムは世界各国から人が集まる多様性に満ちた都市であり、そのような環境で生活することは、新たな視点を得る貴重な機会になると考えました。多様なバックグラウンドを持つ人々と出会い、対話を重ねる中で、自分自身の価値観や進路も再考する時間でもあると捉えていました。
留学準備に関して、アムステルダムは “housing crisis” と呼ばれるほど深刻な住宅不足に直面しているほか、留学先の大学は寮を保有していなかったため、渡航前に自力で住居を探す必要がありました。そのため、留学が正式に決まった時点から住宅探しを開始し、最終的には大学側の抽選制度を通じて学生マンションの一室を借りることができました。学習面においても、自分の研究テーマに関連する英語論文を読み、専門用語への理解を深め、英語で学ぶための準備を進めました。周囲の支えもあり前向きに出発の日を迎えることができたと感じています。
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これまで私は「国際協力」や「教育開発」を中心に学んできましたが、ヨーロッパ、とりわけオランダの文脈においてこれらの分野がどのような理論枠組みや歴史的背景から語られているのかを知りたいと考えました。インクルーシブな開発と教育、国際協力論、現代アフリカ社会などの科目を履修し、複数の学問領域を横断する形でカリキュラムを組みました。特に印象的だったのは、学びが教室内に限定されていなかったことです。講義内容に関するディスカッションは教室だけでなく、キャンパス近くの公園やカフェで行われることもあり、教授は一方的に「教える」存在ではなく、議論を促すファシリテーターとしての役割を担っていました。少人数での授業が多く、共有されるクラスメイト一人ひとりの経験や出身国の事例が教材となり、そこから新たな視点を得ていきました。異なる意見は否定されるものとしてではなく、「なぜそう考えるのか」という問いを深める機会として扱われました。この環境の中で私は、知識とは他者との関わりの中で創造されるものということを強く実感し、学びのあり方そのものに対する理解が大きく変化しました。
留学中には、ヨーロッパ15カ国を訪れたことで、国境を越えるたびに言語や文化、人々の生活、街の雰囲気が変化し、「ヨーロッパ」という言葉では一括りにできない多様性を体感しました。また、アムステルダムにおける留学生団体に所属し、交流イベントや旅行企画に積極的に参加したことで、多くの友人と出会うことができまし興味深かったのは、彼らが自らの将来像を他人と比較するのではなく、自分の価値観に基づいた選択に自信と誇りを持っていたことです。その姿に大きく影響され、私自身も将来何を実現したいのか、そのために今後どのような経験を積むべきなのか、深く考えるようになりました。多様な他者を知ることは、同時に自分自身を知ることでもあり、にぎやかな留学生活の中で、私は静かに自分と向き合う時間も大切にしました。
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アムステルダム大学で経験したのは、教室という物理的空間に限定されない学びであり、知識とは一方向的に伝達されるものではなく、関係性の中で創造されるものであることを教えてくれました。留学を通じて、教育は人と人との関係性の中で営まれる社会的実践でもあるという視座を得たことで、将来取り組みたい国際協力のあり方もより具体的に見えるようになりました。そのため今後は、座学での理論的理解だけでなく、実践的な経験も積極的に重ねていきたいと考えています。
生活面でも、旅そのものにより強い魅力を感じるようになりました。実際にその土地に足を運び、人々と出会い、彼らの生活や価値観に触れることの意義を実感したからです。メディアから得られる知識も大切である一方で、何か新しい発見は、自分で経験したことほど確かなものであると知りました。また、留学中に出会った友人たちの多様な選択や生き方に触れる中で、将来のキャリアについての考え方も変わりました。人との関わり合いの中で自分自身を見つめ直し、その時々の自分の価値観やニーズに応じて柔軟に方向性を調整できる力が重要であると感じるようになりました。将来の展望をあらかじめ固定するのではなく、複数の選択肢を持ち続けること、そして変化を失敗と捉えるのではなく、成功に向かう一つの過程として受け止める力こそが大切だと学びました。
留学は、自分自身の可能性を大きく広げることのできる非常に貴重な機会だと思います。だからこそ、留学生活を通じ何を一番に達成し、どのような自分になりたいのか、という問いに向き合うことで、日々の選択を支えるための目標を明確にしておくことが重要だと感じました。また、受け身でいるか、主体的に動くかの違いが、留学経験の質を大きく左右するということも強く実感しました。そのため、勇気を出して踏み出した一歩が新たな出会いや学びにつながることを心に留めて、留学中のあらゆる機会を最大限に活かしてほしいと思います。留学中は、さまざまな不安や葛藤に直面し、失敗を経験することもあると思います。しかし、それらは決してマイナスの状況ではなく、自分の行動を見直すきっかけを与えてくれる、貴重な成長の機会です。大切なのは、そこから何を学べるのか、次にどう行動を変えるのかと問い続ける姿勢だと思います。多くの人と関わり、多様な価値観に触れ、自分自身とも向き合う貴重な時間となることを願っています。