世界各国の政治の仕組みや政治と人々の関りを研究する比較政治学ゼミでは、民主化、選挙、福祉、移民、多民族共生、ポピュリズム、独裁など多様な視点から政治のあり方を解明します。
世界の政治情報の圧倒的な部分は英語で流通します。この不可欠なツールを使いこなすために、学期はじめの数か月は各国の政治体制や政治過程を分析した英語論文を毎週読み、報告と議論を重ねます。それと同時に、論文の問い、仮説、分析枠組み、実証方法などを確認してリサーチ・デザインの作り方を学びます。学期末には自分の関心に基づいて学術論文を探し、先行研究を読み込む作業をします。専門論文を読みこなし、批判的視点から吟味できるようになることを目指します。

学年の後半は各自が作ったリサーチ・デザインに基づいて調査を進め、進捗を報告します。担当教員は研究の構想と進め方について随時アドバイスします。ゼミは和やかな雰囲気ですが、報告に対して多様な視点からの質問やコメントが出て、議論が交わされます。ゼミ生が対象とする国・地域は東アジア、東南アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカ、北米、中南米と多様で、卒論発表ともなると専門家の域に入るような知識を披露するゼミ生も現れます。比較政治学ゼミに参加することでかなりの「政治通」になるはずです。

自分で政治情報を収集し動態を説明できるようになるにつれて、研究はいっそう充実したものになります。政治には人間の意思が強く反映されるため、人々の生活や価値観を理解しながら研究する姿勢もまた大切です。比較政治学ゼミは積極的に海外に出る人が多く、海外生活や留学経験者だけでなく、長期休暇や授業の合間に資料収集、インタビュー、選挙観察などに出かけ、ゼミで情報交換をする光景があります。ゼミ生が調査地によって英語以外の多様な言語(中国語、韓国語、マレー語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ドイツ語など)を使うのも特徴で、担当教員も研究で多言語を用いるため、言語習得を促す環境があります。

ゼミで扱うテーマは多様ですが、担当教員の近年の研究関心とアプローチを紹介するために、2篇の論文を挙げます。
1.岸川毅「現代中華世界の自由民主と『社会的想像』試論―中国、台湾、香港」納家政嗣、上智大学国際関係研究所編『自由主義的国際秩序は崩壊するのか』勁草書房、2021年。
自由民主という価値観と行動様式の浸透の度合いを、中国語圏の3事例について比較分析した論文。
2.岸川毅「台湾省議会とオポジションの形成—党外議員の行動と戦略—」『日本台湾学会報』第18号、2016年。
国民党支配時代の台湾における民主派議員の活動と意義を口述歴史資料をもとに明らかにした論文。