対立と分断の時代に、他者と出会い続ける知を育む。
総合グローバル学部 学部長
福武 慎太郎
今日の世界は、対立と分断が複雑に絡み合う時代にあります。国家間の緊張のみならず、社会の内部においても価値観や立場の違いが顕在化し、相互理解の困難さが増しています。
冷戦終結後に進展したグローバル化は、人、モノ、カネ、情報の越境的な移動を加速させました。その結果、私たちの相互依存が深まると同時に、文化の均質化や格差の拡大といった新たな問題にも直面してきました。こうしたグローバル化の光と影の双方を批判的に捉える学問として発展してきたのが「グローバル・スタディーズ」です。
創設から10数余年を迎えた総合グローバル学部は、「地域」に根ざした視点から貧困、紛争、移民・難民、開発、環境といったグローバル・イシューに取り組んできました。その学際的な教育と研究の試みは、21世紀の地球社会を理解するための重要な知的基盤を築いてきたと考えています。
しかしながら近年の世界的な国家間の緊張は、国家を主体とする政治力学を理解し判断する力だけでなく、人類にとって国家とは何かという深淵な問いを改めて我々に突きつけています。また情報環境の急激な変化とAIの進化は、知識の生産と共有の在り方そのものを問い直しています。効率化が進む一方で、アルゴリズムによる情報の偏在や、他者理解の難しさといった課題も浮かび上がっています。
このような対立と分断、そして知識のあり方が大きく変わりつつある時代にこそ、対立と分断の力学を理解するだけでなく、国家や民族を超えて人々をつなぐ価値を再創造することが求められています。「グローバル・スタディーズ」はまさにそのような時代の要請に応えなければならない学問です。
私たちはAIによる知の進化を否定するものではありません。むしろ重要なのは、こうした技術とどのように向き合い、いかにして「他者」と出会い続けるのかを考えることです。総合グローバル学部は、その問いに粘り強く取り組む場でありたいと考えています。